上がっていく体を保つ

バレエでは「引き上げ」という言葉を使います。

これは踊る時に、最も体が動きやすい状態に持っていけるようにする「準備の構え」のことを言います。

「引き上げ」を英語で言うと「Pull Up」となりますが、海外ではどちらかと言うと「Lift Up」と表現することが多く「引っ張り上げる」というよりは「しっかりと持ち上げる」という方が適切な感じがするのは、僕も同意です。

体は重力の影響を受けて、毎日少しずつ落ちていきます。これは自然に生きていく上で仕方のないことです。何もせずに過ごしていると、姿勢が崩れていくのを防ぐことが出来ません。

一日１cmずつでもいいので「昇っていく感覚」を身に付けていきたいところですね。

特殊な能力は要らない

バレエでは「引き上がっている」というのは第一の条件と捉えてよいでしょう。ダラリと落ちるような姿勢で踊ろうという人はいないと思います。

ピラティスでは「背骨を伸ばすこと」が一つの大きな目的に入っています。僕の学んだ流派 Polestar Pilates では「Axial Elongation」といって「軸の伸び」として表現されます。

背骨というのは「人の体の柱」になりますから、これが縮んだり曲がったりしていくのは、やはり「下がっていく」ことに他なりません。

まっすぐ立っている時は地面、重力に対して垂直方向に「上げていく」という感覚が背骨を伸ばすことに繋がりますが、体を横にして「背骨を地面に水平にしている時」でも、落ちていく方向に身を任せている時は「背骨は縮んだり曲がったりしていく」ことをご存知ですか？

重力は常に働いていて、どの方向に掛かっているか、いざしっかりと意識してみると、はっきりと感じることができるはずです。

一番ストレートな例え方をしてみると…

「重力にまっすぐ逆らう方へ向かう運動をする」

つまり…

「上を目指す！」ということになります。

「呼吸」も素晴らしい「引き上げ運動」

普段何気なく…というか、必然的に行われていて忘れてしまいそうな「呼吸」ですが、「呼吸」も素晴らしい運動として捉えることが出来ます。

まず大きく息を吸ってみると、肺をはじめ体がフワァと風船のように膨らむ感じがして、息を吸い上げる前より「上昇している感じ」がするはずです。

長い年月を経て、体はゆっくりと確実に「下がっていって」しまいます。

ならば１日１cmずつでも！「昇る運動」を試していきましょう♫